前回ではメンタルヘルスの教科書的な本を取り上げた。
関連箇所つまみ読むだけで、自分が精神科的な病気としてはどこに位置するのかさすがにわかると思う。統合失調症は明らかに違うし、気分障害的な気分の波はあるのは確かだが、わかりやすい「うつ」がずっと続くというようなものではないことは自分が一番よく知っている(すみません、ここらへんは人それぞれかもしれません。が、あくまでに一般的にという意味です)。
そうすると、「ストレス耐性の弱さ」だとか「衝動的な行為」だとか「自我境界の不明瞭さ」だとか「見捨てられ不安」(高岡さん。。。)だとか思い当たるふしビンビンの人格障害ちゃんのところに目が止まる。
まあ、これなんでしょうね。
何もわかってない段階から比べれば、大きな進歩だが、これがすぐに自己治療みたいなところに行き着くかと言われれば、大きく頭をふりかぶって私は NO! という。
教科書はあくまで教科書。
全体はつかめても、日常生活の細部に及ぶ行動原理に影響を及ぼすところまではいかないだろう。
ここで、ぐっと簡単な「患者さんのために」書かれたような本にいってもいいのだが、もうちょっと頑張るならば、専門書まで踏み込むのも一つの手だ。
★ 『人格障害の臨床評価と治療』林直樹
かっちりとした書き方をしているので、そーゆーのが苦手な人は他書(市橋本とか)の方がいいと思うが、この手の記述のスタイルに慣れている人には、患者さん向け啓蒙本より得られるところが大きいと思う。理論から症例まで、バランスよく記載されている。患者目線としては、主治医がああいったのは背後にこういう理屈があったからなんだと腑に落ちる点が、山ほどあった。
なお、同系統の本で外国著者のものもありレビュー上では評判が良かったりするのだが、母子関係(これがボーダー=境界性人格障害の母体でしょう)が日本と外国では異なるので、私はなんかそのあたりで興ざめした。
★ 『パーソナリティ(人格障害)のことがわかる本』市橋秀夫
友人が読んでいた。私もチラ見した限りでは良いと思った。ただし、林本の方を先に読んだため、 精読はしていない。レビューにもあるように当事者が読んでも違和感ないとあるので、こちらの方が一般的にはオススメだろうか。
ここらへんの本の内容の意味がわかってくると、自分のことがよくわかってくると思う。
おそらく、日本人女性に多い人格障害は境界性人格障害(Borderline Personality Disorder BPD。障害というのがムカつくので以下BPD)だろう。
その理論的背景もわかってくると自分の過去をほじくり返したくもなるが、これは個人で行うのは、難しい側面もあるかもしれない。
母親との関係なんて、思い出したくもないという人も多いだろうから。(私も、この記事書いてて、さっき衝動的に怒りが湧いてきた)
私の場合、当時の主治医がアタリで、上に挙げた本もしっかり読んでいるような先生だった。外来時に寄り添ってくれた。「ここに書かれてあることは、具体的にはこういうことだよね。私ちゃんのこういう行動に結びついているよね」という風に。
ただ、こういうタイプの主治医は少ないだろう。現実的には、相性の良いカウンセラーさんと共にこういった作業をやることが多いと思う。
★ 『メンタルクリニックカウンセリングマニュアル』猪股弘明
著者がメンクリスタッフ向けに書いたカウンセリング用の実践的なマニュアル。だから、記述が平易で(でも、BPDに関してもカーンバーグの人格構造論を引いて実に簡潔にまとめてます)、何よりも安い。カウンセリングといっても何か具体的なネタがないと行き詰まったりする。そのときにこういった本があると使い勝手がいいと思う。
2019年9月22日日曜日
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